大事かはともかく、貴重である

憲法九条を世界遺産に』太田光 中沢新一
憲法九条を世界遺産に (集英社新書)

実に、日本国憲法とは、一瞬の奇蹟であった。
それは無邪気なまでに理想社会の具現を目指したアメリカ人と、
敗戦からようやく立ち上がり二度と戦争を起こすまいと固く決意した日本人との、
奇蹟の合作というべきものだったのだ。
しかし今、日本国憲法、特に九条は次第にその輝きを奪われつつあるように見える。
この奇蹟をいかにして遺すべきか、いかにして次世代に伝えていくべきか。
お笑い芸人の意地にかけて、芸の中でそれを表現しようとする太田と、
その方法論を歴史から引き出そうとする中沢の、稀に見る熱い対論。
宮沢賢治を手がかりに交わされた二人の議論の行き着く先は…。 

困ったときは爆笑問題に限る、だったんだけど超真面目。

これまではどっちかというと改憲派だったのですが、この本を読んで、「ああ、やっぱ九条を守るのはアリだな」とと勝海舟に会った坂本竜馬が如く宗旨替えしてしまいました。結構そんだけの破壊力のある一冊。


戦争を無くすことはできないのだから、武力を持たないってのは笑い話じゃすまないわけで、現にすまなくなってきているこの情勢の中、でもやっぱりその笑い話を守り続けることは実は歴史に語れる価値なのではないかな。と。

あと、アメリカに作られたとはいえ、そこにはアメリカが垣間見せた、何か世界全体に大事なものが種としてあったのではないかと考えると、また残すべきではないかという気になりつつある今日この頃でした。