4月から新設された大学に通います。ヨロシク

『虚構大学』清水一行
虚構大学 (光文社文庫)

けして短いわけではないのに、一気に読んでしまいました。それほど面白い作品。

なんだけど、この本にはモンスター・宇宙人・ロボットはもちろん、残酷な殺人者も快刀乱麻な名探偵も出てこなければ仮面ライダーなどもっての他です。ついでに言うとどんでん返しもない。じゃあ何故面白かったのか?

教育界の現状を一変させるような理想的な大学の新設を目指す。学校づくりの名手と呼ばれた千田は、ある養成学校の教務課長から依頼された。政治家を動かすのがベストと直感した千田は、元林野庁長官に渡りをつけ、建設用地に宇治の国有林の払い下げに成功するが…。

知らない人には全く面白くない、大学設立を題材にした話なのですが、緻密な調査に基いた非常にリアリティのある話にすっかり感情移入していまい、一気に読んでしまいました。

だって、この学長役の先生って世間知らずな割に偉そうな事を言う辺り、すっげーよくいる大学の先生なんだもん(うちの先生は違いますが)。それに振り回される事務屋ってめちゃくちゃリアリティありまくり。他にも、国有林払い下げに伴う政治家の派閥抗争のやり取りや、「大学屋」とも揶揄される山師とのスレスレのやり取りとか、ある程度大学の周辺で仕事している人にとっては「よくあるよくある」と言いたくなる人ばっかりです。もうリアリティの塊。


でもそれでクライマックスには感動できたわけだから、非常によくできた小説だなと思います。やっぱ宮部みゆきといい、リアリティ系はリアリティ系で面白いのな。というわけで私はただの空想にふけるアキバ系ではないっつってんだろバカ姉貴!これがオチ