『殺人症候群』貫井徳郎

殺人症候群 (双葉文庫)

中々戦うと宣言してみると落ちていないなぁ。とりあえず昨日はライバルとのミーティング、主観的な評価では6割程度の負け。
しばらく勘が鈍ったままかもしれないので、しばらくヒリヒリした日本刀のようなオーラを漂わせたまま生活してみる事にする。


まあそれはいいとして、久しぶりに貫井徳郎を読んだ。今回は未成年に代表される、刑が軽くなる人々の犯した凶悪な殺人に対して私刑を執行するための職業殺人者を追うお話。にしてこのシリーズ完結。

父母息子二人の平凡だけど幸せな家族がいきなり長男をいじめで殺されて、それ以降の人生を悲しみで送り続けるというケースの場合。
まあ私は結婚していないし、する気もないし、守るべきものもないのでその気持ちが分かる事はまずないと思うが、人を殺したいと思う、人を殺したいと思うまでの悲しみは一応経験ある。足りなかったのは逆に勇気だけ。ちなみに、自分を殺したいと思った事が一番多いのだが。

理由は何にせよ、「殺したい」と思っても中々殺せないのが人間社会では当たり前のルール。このルールを破った瞬間殺したほうが悪者になってしまう。なぜなら、それを認めてしまったら人間社会は崩壊するから。
しかし、人命は本当に尊いのか?弾みで人を殺しておいて次の日にはゲーセンに行っている連中もそれに対して何も言わない親の命が尊いとはとてもではないが思えない。

そんな矛盾を抱えながら我々は生きているのですが、それが今回のテーマ。

まあ、話の面白さは相変わらず面白かったのですが、気に入ったのは人を殺した人間(それがいじめによるものであれ、悲憤に駆られた私刑であれ)が必ず悲劇的な最後を迎えているところ。
それが結局唯一の答えを出しているとしか思えない。そんな作品です。