うんうん、ウンコウンコ

ウンコに学べ! (ちくま新書)
『ウンコに学べ』有田正光 石村多門

あくまでも入り口はネタと笑いからいくのが私のやり方です。

ウンコもまた、水洗便所のレバー一つで跡形もなく消えてしまう。
(略)人生のいろいろな悩みも、同じようにレバー一つで目の前から消えてくれるならどんなにすばらしいことだろう、
(略)しかし、ウンコの方は「いつもお前がひりだしたウンコなんだぞ」と人知れず語りかけているのである

というのが最も端的な本の趣意です。


ウンコに対して、下水処理に代表される科学的処理の解説に始まり、歴史・民俗学ついには心理学のフィールドで考察を行っています。

で、ちなみに戦前では日本人のウンコの量は西洋人もビックリのワールドクラスのサイズだったそうです。チンコは負けているがウンコは負けていないということです。

ウンコの半分は腸内細菌とその死骸である。残りの半分は消化されきれずに出てきた食物である。この食物のカスを結腸にいる細菌類が食べた結果、インドールとかスカトールといった化学物質が生まれ、これが臭いの素となる

ウンコが何で、なぜ臭いのががとてもシンプルに示しているのがこの一文です。そうすると臭いやウンコの質は全て腸内細菌が握っているということになります。腸内細菌と言えばビフィズス菌、更にはウンコだけでなく免疫とも関係しています。更に免疫は異性との交配相性にも関係しているからウンコは相性に関係しているわけで、ウンコの臭いをかげば男女の相性がわかることになります。


で、シンプルな下水処理の原理が示されます。

  1. 食べた後の食器を流しに放置する
  2. 2週間くらいまで異様に臭い
  3. 3ヶ月も放置すると臭いはなくなる

バクテリアが活性化して食物の残りかすを分解する過程がここに示されていますが、分解を行うバクテリアにも2種類あり、酸素を使って行う好気性と使わない嫌気性(これが臭いを発生させる)がありますが、最終的にはバクテリア同士が共食いを行い、栄養塩まで分解されて、キレイになりますよと言う話です。

ところが、栄養塩はそのまま流してしまうとプランクトンが繁殖して赤潮、アオコなどにもなりますから、これをどうするかもまた問題になります。


まあ、ともかく非常に複雑な化学反応の結果がウンコであり、下水処理であるわけです。下水処理については環境問題も関わり、水質汚染などの問題もあります。


ところが、日本には天然の非常に高度な下水処理場があります。それが水田です。究極の浄化槽、夢の浄水場