ぬしさまへ』畠中 恵
ぬしさまへ しゃばけシリーズ 2 (新潮文庫)

以前、『しゃばけ』という本の感想を書きました。
http://d.hatena.ne.jp/rx78g/20050120
この時は面白そうという理由いがいにはなかったのですが、気がついたら日本ファンタジーノベル大賞の優秀賞なるものを得ていたらしいですね。
「まあ大体世の中の方が俺に追いついて来るんだよな」
と満悦するのは若いからと言う事でお目こぼしを頂いて、内容です。


江戸の大店廻船問屋兼薬種問屋は長崎屋の御曹司である一太郎は利発ではあるが体が弱く、いつも病気で寝込み、死んでしまうかわからない生活を送っています。
しかし、彼の祖母は狐の大妖「皮衣」(例えて言うなら「うしおととら」の白面。ハイ、無理がある)であり、愛しい孫を守るために白沢、犬神を筆頭とした妖怪の群れを遣わしています。


話の筋としては、一太郎がこれら妖怪達と共に江戸を滅ぼそうとする戦国時代の怨霊から江戸を守る話・・・ではなくて、一太郎が江戸で起こる怪事件を妖怪達と共に暴いていきます。


複数の短編から構成されていて、病弱だが利発な一太郎と奇妙だが愛すべき妖(あやかし)達の生き生きとした生活を読むことが出来ます。
うん、ミステリーとして捉えた場合、妖怪を出してきた時点で反則スレスレですが、登場人物に心が通っているのが面白さの源と考えます。