馬車道

上高地切り裂きジャック島田荘司
上高地の切り裂きジャック (講談社ノベルス)

御手洗潔が好きなのか、馬車道が好きなのかどっちが先かは置いといて、ここ何回か連発している島田荘司の新作です。今は神奈川は藤沢に住んでいて、大学以来中々離れられず大学時代の頃からの友人には「まだ住んでるの!?アホじゃん。一回死ねば?」とか言われていますが、離れられない理由の一つに横浜が近いってことが何気にあります。


私は産まれも育ちも千葉は浦安で海、特に泳げる所ではなく港が好きってのがあります。だから、横浜のあの港みなとした雰囲気は好きであり、時々行くと良い気分転換になることから、横浜に近い藤沢から離れられないということがあります。
でもって話を戻しますが、御手洗潔シリーズは舞台が馬車道なので地理的描写も読んでて楽しいのですが、今回は事件そのものが横浜近辺で発生します。石川町、関内、山手。


この本には2作品が収録されています。

散々横浜スキスキーいっておきながら、タイトルは上高地なんで長野ですが、山手とリンクしています。具体的には死体が移動します。ちなみに、死体は腹部が抉られており、まさしく切り裂きジャックのような所業です。

そういえば、朝起きてなんとなくニュースを見ると小学生が刺殺されたというニュースが3,4件立て続けに流れるコトを考えると切り裂きジャックなんて言っても大した事ない気がしてきました。日本は切り裂きジャック大国ですね。クリスマスも近いですから、仕方ないですね。この件については色々と思うところがないでもないのでまたいずれ。

閑話休題。結論としてはあんまり面白くなかった。です。だって痴情のもつれなんだもん要は。もつれる痴情なんてないから現実感はないし。はい、ここは泣くところです。

  • 『山手の幽霊』

一転、こっちは島田荘司らしいトリックで面白かったです。地下シェルターで発見された餓死者の遺体。しかし、彼はピンピンしていたという目撃証言。それと、石川町駅付近で電車の運転手が終電運転中に見た男、まばゆい光、窓から逆さでぶらさがる女の幽霊の謎。

そうそう。こういうのこういうの。一見幽霊とでも言わなければ解釈しようのない事件を鍛え上げられた知と頭脳による妙なる推理で解き明かすってのがミステリーの醍醐味ですよね。

まあネタバレなんであまり書けませんが、島田荘司らしい大胆なトリックが展開されていました。