『しゃばけ』畠中 恵 新潮文庫

しゃばけ しゃばけシリーズ 1 (新潮文庫)

ここ最近本を読むペースがまた早くなってきました。
もちろん、書くペースより読むペースの方が早いため、本屋に言ってもお気に入りの作家の新作には中々お目にかかれません。こうなると必然的に今まで読んだことのない作者の本を買うのは言うまでもありません。それか新書とか。


というわけで殆ど予備知識もなく、本屋で勘だけで買った小説ですが結構面白かったですね。
娑婆気と漢字では書きますが、時は江戸時代、薬種問屋の若旦那である一太郎は病弱ですが、妖(あやかし)に取り囲まれて暮らしています。手代の犬神、白沢を始め屋鳴、屏風のぞきなどが一太郎を取り巻き、仕え、護っています。
そんな一太郎が通り魔に襲われました。通り魔の意外な正体とは・・・?


という筋書きです。

正直時代物ってのは、登場人物が腕時計をはめていそうな気がしてあまり読んでいなかったのですが、妖という要素を織り交ぜた事で、ファンタジーになりつつも江戸の風土が新鮮に感じられ、かつ登場人物も人間は勿論の事、甘い物を好む人間くさい妖が独特の雰囲気を醸し出しています。時代物はあまり好きではなくとも、妖怪が好きだというのが良い方に転んだようです。

発想(江戸+妖怪)としてはあまり新鮮ではないかもしれません、既に宮部みゆきがやっていると言えばそれまでだしね。でも、会話・描写がそれこそ「娑婆気」に満ちていて楽しかったです。分量もそこそこですからね。