歯は治りません

さらば歯周病 (新潮新書)
この本を読むと歯医者に行きます。事実、私の周囲の人間(うちの研究室の先生含め)は高確率で行きました。まずは要旨をまとめた上で、感想に入りたいと思います。

まず前提として「一生自分の持って生まれた歯で食事したい」と思っていること。こう思わない人はもうアウトですから、フガフガ言ってこの先は読まないで下さい。


ところが、一生自分の歯を維持することは困難を極めます。なぜなら歯は(虫歯であれ、歯周病であれ)他の病気・怪我と異なり「回復しない」こと。虫歯の場合は僅かながら回復しますが、歯槽膿漏によって受けたダメージは回復しない。だから正しくは歯を「治す」ではなく「修理する」と言います。この認識があるかないかも分水嶺になりますがね。


だから、なるべく悪くなる原因を除去することで対処するしかない。じゃあその原因は何かということですが、2つあります。それが虫歯と歯槽膿漏です。その因果関係さえ判明すれば、可能な限り歯を維持することができるわけです。

しかし困ったちゃんな事に、虫歯の方はかなり原因がはっきりしているものの、歯槽膿漏に関しては(ちょっと前までは細菌とか言われてましたが)わかっていないんですな。歯茎のあたりに歯槽骨と言われる骨があって、これがボロボロになってしまうものですが、とにかく不明です。
この本では、歯石(食べ物のカスのうち無機質な物が結晶化して歯の隙間にこびりつくもの)が歯槽膿漏の原因であると述べて、作者が−実際歯科医なのですが−20年間歯石を除去する治療を中心に行ったら60歳でもかなり歯が残るようになったと成果を述べています。

じゃあ歯石を除去すればと思いますが、一度付着してしまった歯石は歯磨きじゃ取れないんですね。付着してしまった歯石は歯医者、歯科衛生士でなきゃ取れません。そこで、歯医者行こうとなるわけです。

こんな感じで、私の印象にのこった範囲でサックリまとめましたが、幸いにも私のかかりつけの歯医者は看護婦さんが可愛いので、もといここら辺の事をよくわかっているようで、月1度程度の割合で歯石を取ってくれますし、歯石が付着しにくい歯磨きの仕方も教えてくれました。マジで可愛いんだって。
余談ながら、2年前までは歯石を取る行為には保険が効かなかったり、法律的に面倒だったようで作者の方もブーブー言っていますが、歯石を除去してくれる歯医者って最近は珍しくないような気がしますので、日本の歯科医の現状もかなりマシになったのではないかと思いますが、日本人の認識も甘いらしいです。
痛くなったら歯医者行くって発想はよくしてしまいがちですが、歯の場合は痛くなったとき=手遅れ(抜歯とか抜随)なので最低でも年1回は検診に行け、と言ってます。実際デンマークだっけ?は保険の負担割合が治療より検診の方が低く(日本は逆なんですけど)、予防医療を推奨しています。


洋の東西と問わず、「予防」という視点で健康を維持するようになってきた私です。まあ、病気などを気にかけずとも、自分の体の状態を把握したくなったらシメたものです。まあこんな理想的な患者でも理想的な男ではないので彼女はいないわけですが(なんかオチそうにないから無理矢理オチをつけました)。