『陽気なギャングが地球を回す』伊坂幸太郎 ノン・ノベル

陽気なギャングが地球を回す (ノン・ノベル)
私のカバンには電車で読む用に常に1〜2冊の文庫(新書なども)が入っています。しかし前回紹介した「二人のガスコン」3冊とこの本が入っている時はさすがに重かった。というより、チャックが閉まりませんでした。
電車で何もしないのが怖いんですよね。他の人みたいに音楽を聞く(iPod新型だウヒョーとかいう人生)代わりに電車では大抵本を読んでいます。あ、あと彼女との待ち合わせに20分くらい早く着いて、その間喫茶店でおいしいコーヒーを飲みながら読みますよ。こんなんなので、僕の彼女になる人は待ち合わせに遅れてもとやかく言いません。だから彼女になるといいよ。いや、なってください。またこのフリとオチか


蛇足で行数を食いましたが、『陽気なギャングが地球を回す』です。たまたま『ガスコン』全巻を仕事場に忘れてきてしまい、慌てて本屋で買った本ですが、こういうときこそ野生の勘が働くのでしょうか。面白かったです。
人の嘘を見破る能力を持った成瀬、絶対体内時計を持つドライバーの雪子、嘘しかつかない響野、スリの達人である久遠の4人は銀行強盗。しかし、いつものように仕事してさあ帰るぞという時に現金輸送車強盗犯と車が接触してしまい、アガリを持っていかれます。そこから始まるハプニング&サスペンス&サムシング。という筋書きです。何がなにやら。


「メンバーがそれぞれ別々の(代わりの聞かない)特殊能力を持って何か一つの事を成し遂げる」という設定はサイボーグ009から連綿と存在していましたが、SMAPが歌までもなく「No1よりonly1だろ」と思う私にとっては魅力的な設定です。(最近ではonly1は負け犬の遠吠え説が浮上しています。No1のSMAPが歌うなんて変だよ!絶対高いところから言っているよ!)

とにかく感想ですが、会話のノリや話のテンポがよく、サクサクと読めました。実に無駄のないストーリーテリングが展開されています。実は、ライトノベルとかほざいていても(情景描写とか感情描写などに)無駄があって読みづらいことが多いです。正確には無駄と読み手である私が思ってしまう部分が多い。しかし、この作品は無駄がなかったです。響野の台詞や久遠の動物愛護の台詞など本筋でない場合も多く、その意味では他の人はもしかしたら無駄に感じるかもしれませんが私は「本筋でないセンスある戯言」が好きなので(というか私自身が私というストーリーの中でそういう存在なので)、無駄とは感じないんですね。どっかで繋がってたりするし。

テンポがよいと、単純なトリックやどんでん返しでもなぜかワクワクすることができ、読書としては満足を得られます。やっぱノリだよね的な結論は本質を見誤る危険性が高いのですが、私自身が本質から程遠いところにいますから、これはこれでアリかなと。