そのケータイはXX(エクスクロス)で

『そのケータイはXX(エクスクロス)で』上甲宣之 宝島文庫
そのケータイはXX(エクスクロス)で (宝島社文庫)

なんか最近ミステリーを読むペースがそこはかとなく早いのですが、題名とストーリーに引かれて買ってみました。
それだけではなく、「このミス」の大賞候補に上がった作品だそうです。
なるほど、これじゃ大賞は無理だわ
って出来でした。

長野県の隠された村、血生臭い因習、悲劇のヒロイン、武器はケータイのみと面白そうな設定は整っているのですが、文章力がないです。映画に引かれて買ったけど、読みにくすぎて飛ばした『リング』『らせん』の鈴木光司氏に匹敵します。

なにしろ、「ドォン!」「ジャキン!!」「ププププゥゥゥ」など、擬音が擬音のまま描写してしまっていますから。そこを「大地が揺らす轟音」「耳障りな音を立てて閉じる鋏」などと工夫して表現するのが文章のプロたる小説家のスタイルなのに、擬音ばっかです。ウィニングイレブンで強いとわかっているブラジル、フランスを使う位みっともないです。

あとは、エクステンション(付け毛)、洗剤などを武器に工夫して戦うところは考えているようですが、要するにジョジョなんですわ。やってることが。まあ、これがいかんと言うわけではないですが、漫画はともかく、小説でそれをやっても文章だけというか、その説得力の弱さのせいか、迫力にかけるんですよね。

こうして考えてみると、ミステリー小説ではなくて、バイオハザード小説版のデッドコピーくらい。あれ?辛辣だなぁ。俺。ちなみに、バイオハザード小説版なんて読んでいないし、あっても読まないだろうけど。
つまり、ミステリー小説が書かれているのではなく、筋道のあるゲームが文章で表現されている・・・てなもんで。

昔は「フォーチュン・クエスト」など、嫌いではなかったですが、最近の小説なんていっても、「マンガでできるものを作者が絵が書けないから文章にしただけ」というレベルの作品が氾濫してしまっているのが現状であると憂えております。
まあ、フォーチュンクエストは女心がとても愛らしく描写されていて嫌いではなかったですが。ですが。繰り返し。