『家守(やもり)』カッパ・ノベルス 歌野昌午

家守 (カッパ・ノベルス)
歌野昌午氏ですが、最近「このミステリーがすごい!」でベストテン入りしてたのでチョイスしてみました。「このミス」自体、今回は荒れたなあという印象を持っていたのですがね。
だってベストテンに京極、宮部が入っていないなんて…
と言いつつも、時代が変わったのかなぁと思って氏を選んでみました。

『安達が原の鬼密室』は読んだのですが、あまり面白くなかったので(おなじトリックで別の4つの話を並行に進める手法はほぉと思ったのですが)歌野氏はあまりマークしていなかったのですが、この本も後述する貫井氏に比べると「読ませる」作品とは言い難いところでした

「人形師の家で」「家守」「埴生の宿」「雛」「転居先不明」の5つの作品が収録された短編集の形式なので一列に評価するのもアレなんですが、どうも歌野氏のトリックにはワクワクするところがない。予測できないというわけでもないですし、「あ、そう」で終わっちゃうんですよね。『安達が原』もそんな感じだったですし

まあ、トリックがワクワクしないとあれば、表現力や叙述力ってのがポイントになるのですが、読むのに苦痛にはならないのですがどうにもこうにも味気ない。登場人物の心情とかバックグラウンドもちゃんと表現されているのですが、私にはちょっと共感しにくいところが。多分、登場人物が「格好よくない」っていうのかなぁ・・・

まあ、色々述べましたがミステリー小説としては標準以上の水準はあると思うので興味のある方は読んでみるとよいかもしれません