古武術からの発想

古武術からの発想 (PHP文庫)
最近、甲野善紀氏にハマりつつあります次第。
で、読んだのが『古武術からの発想』(PHP文庫)です。

で、第一の感想が、

なんか、宗教がかってきたなあ・・・

てことです。まあ、古武術(こぶじゅつで変換されやしない。この阿呆)を踏まえつつ、今の体育教育のあり方や現代人と運動の関連を説いているあたりはとても新鮮なんですよ。武道もとい武術(本では明確に使い分けていますが)の「術」としての精妙なる体の使い方、そして昔の達人と呼ばれた人達がいかに体の動きを洗練し、精緻なる極みまで高めていったのかというあたりはとても面白かったです。
無往心剣術という剣術があるのですが(実在します。ジャンプとかの世界ではありません)、この究極奥義(てことを言うからジャンプになるんだな)は「ただ、太刀を上げて下ろす」だけなんですね。だから、マンガじゃないです。と言いつつも、武術としての精妙なる究極の姿がここにあります。
これはこれでかっこいいのですが、結局は色即是空、空即是色のような禅問答に行き着いてしまうのですよ。で、それが更に進むと最後は宗教になってしまうんですね。そうなってしまうのは、やむをえないところがあるかと思いますが、宗教の匂いを感じると途端に引いてしまうのが、無宗教な現代人ならではでしょうかね。

とはいえど、これは最終的な印象でそれまでは、上記のように武術というものについて解説しつつ、現代人の体の動かし方、体育教育などを論じているのは面白かったです。マジで。頭ガツンって感じです。
特に、体を動かすことが不得手な人、やっていない人、SEは特に読めって感じ。